1年半前からの年金生活は毎日が日曜日であり、時間だけは腐るほどあるが、オーディオ趣味の肝である自作を続けるには先立つものが自由にならなくなってきており、不本意ながらここ半年ばかりは「スクラップ・アンド・ビルド」か小細工になっている。
〖現在のオーディオルーム半景〗
当たり前だが拙システムのパフォーマンスレベルは「これで上がり」には到達しておらず、欲しい物は一杯あるが無い袖は振れないので、「足るを知る」という心構えになろうと努めている毎日である(笑)。
先日まで「EF86プリ」を作りながら、パワーアンプの小改造やスピーカーセッティングを変更したりして、音作りは一山越えたつもりになったので、既出ばかりで恐縮ながら、備忘録として「我が愛機たち」と名付けて、何回かに分けて現有機器について書き記すことにする。
尚、凡その製作(購入)費用を記したが、その時点の価格なので現在の価格は不明である。
自作した機器を振り返ると、やはりアンプ(ラインアンプ、パワーアンプ)が殆どであり、その他はスピーカー関係機器が少しあるだけである。
最も多く作ったパワーアンプから記すが、搭載している出力管の国別で紹介したい。
国別に音の差があるかないかは分からないが、そう思って聴くと違いがあるように思えるから、我が耳ながらいい加減なものだ…。
第一回 英国出力管を搭載したパワーアンプ
☆「DA30シングル」
○使用管 『MHL4』、『ML6』、『DA30』、
『GZ32』(前段部整流管)、『GZ37』(出力段部整流管)
○回路 トランスドライブ3段増幅シングルエンドアンプ
○コスト 50ユキチ
懐に余裕があったとき作った最もコストがかかったアンプである。
初段、ドライバーとも英国三極管を使い、タンゴの『NC-20F』という大型段間トランスでドライブするこのアンプの出音は【雄渾】そのものであり、『DA30』は英国直熱三極管の中では頂点ではないだろうか。
東の横綱が「WE300B」なら、この球は西の横綱と称されることがある。
☆「PX25シングル」
○使用管 『MH4』、『PX25』、『4274B』(整流管)
○回路 CR結合2段増幅シングルエンドアンプ
○コスト 40ユキチ
「DA30シングル」を作ってその音の良さを実感できたので、クイーンと称される『PX25』の音を聴きたくなって、初期のナス管の出物があったこともあって作れた。
回路は、初段に『MH41』というハイμ三極管(後に『MH4』に交換)を使い、カップリングコンデンサーで『PX25』に繋いだシンプル極まりないシングルアンプだ。
ラックスOYシリーズ出力トランスを使った音は真に【優美】であり、作り易くてコンパクトなボディーで済むので、英国管のアンプを検討するなら一押しの球である。