恩田陸の直木賞受賞作「蜜蜂と遠雷」を読み終えました。
舞台は浜松を思わせますが、若いピアニストによる国際的なピアノコンクールの予選から本選までの様相が鮮やかに描かれた物語です。
少しでも音楽とオーディオを齧った者なら、よくぞここまで調べたなあと思う描写が至るところにあります。
残念ながら感受性が鈍くなったため、文中から音を聞き取ることはできませんでしたが、極めて印象深いテーマがありました。
普通のピアニストたちとは全く違って、ナチュラルな環境で育った養蜂家の息子である少年(主人公の一人)は、亡くなった恩師(ピアノの巨匠)から生前に『音楽を狭い室内から外の広い世界に連れ出して欲しい』と頼まれており、このコンクールでの演奏もそれを自分の課題としています。
師匠の望みは、『そもそも音楽は太古から大自然の中に満ち溢れており、音楽家はそれを聞き取って音符に残したのだが、演奏する場所の殆どが室内になって、音楽が閉じ込められて窮屈になっている。音楽を外に連れ出して自然に返してあげてくれないか』です。
物語の主人公は若きピアニストたちですが、彼と彼女らの演奏は聴衆を惹きつけ、演奏しているピアニストと一体の感興を生み出す様子が印象的に描かれています。宇宙からの壮大な眺めもありました。
この物語に倣うならば、オーディオを趣味とする者として、自システムを駆使した音楽の再生とは、心を解き放ち音と一緒に狭い部屋から広い外の世界に飛翔するほどのものでありたいと思います。
これで終わればよいのですが(笑)、足と電源を強化した「Wadia170」を頼みにして自己マン再生を試みましたが、果たして、拙システムで広い世界に飛び出せるでしょうか?
物語と同じく、ピアノ曲を選びました。
3曲連続で17分と長いですが、宜しかったらお聴きください。
☆再生機器
「WE101Fプリ」→「WE205Dシングル」→「AXIOM22」+「H-70HD」
Maria Pires弾くショパンのノクターン3曲は、『高い山々の峰を巡る飛行』や『大海原の航海』、はたまた『月旅行』へ連れ出してくれました。
といいたいところですが、ほんの少しだけそんな気がして眼を開けると、そこは狭い拙オーディオルームでした…。部屋の外の音とPCのファンの音が通奏音になって入っております。。(自爆)
真面目な話、WE205Dの音は厳しすぎるなあ。。クラだとPX25の品と香りが好ましい。